個人の建設業者が死亡して相続人が事業を引き継ぐ場合や、建設業者が事業の譲渡、会社の合併、分割を行った場合、相続人あるいは譲渡、合併後または分割後の会社は新たに建設業許可の再取得が必要でした。そのため、新しい許可が下りるまでの間は建設業を営むことが出来ない空白の期間が出来、不利益が生じていました。

 このような状況を改善するため、個人事業者の死亡に伴う相続承継のほか、事業譲渡・譲受、合併、会社分割に関して新たな規定を創設し、事前または事後の許可を受けることで、建設業の許可を承継することが可能となりました。

(1)個人事業主の相続の場合

 被相続人の死亡後、30日以内に相続許可を申請し、許可を受けることによって、被相続人が得ていた建設業許可を被相続人が承継することができます。承継の一般的な手順は下記の通りです。

<手順>

①個人事業主の死亡後30日以内に、相続人である個人事業主が行政庁に対して相続の許可を申請。
※建設業許可を承継しない場合は廃業届を申請

②許可行政庁において、申請の内容について審査。

③許可行政庁から相続人である個人事業主に対して、許可(又は不許可)について通知。

※許可申請に対する処分があるまでは、相続人は許可を受けたものとして扱うため相続人は事業を行うことができます。

(2)事業承継の場合

 事業承継の際に、事前に許可行政庁による認可を受けることで、空白期間なく承継者(譲受人、合併存続会社、分割承継会社)が、被承継者(譲渡人、合併消滅会社、分割被承継会社)の建設業許可を承継することができるようになりました。

 従前は、承継者が新たに建設業許可を取り直すことが必要で、許可が下りるまでの間、建設業を営むことができないという不都合が生じていました。

尚、現行の建設業法においても、事業承継の際に事前の許可を受けていない場合は、承継者が新たに建設業許可を取り直すことが必要となり空白期間が生じてしまいますので注意が必要です。

●承継既定の対象外となるケース

 事業承継におけるすべてのケースで建設業許可の承継ができるわけではなく、対象外となるケースがありますので注意が必要です。

 具体的には、一般建設業の許可を受けている建設業者が、同一業種の特定建設業の許可を受けている者の地位を受け継ぐような場合や、特定建設業の許可を受けている建設業者が、同一業種の一般建設業の受けている建設業の許可を受けている建設業者の受け継ぐようなケースは、この制度による承継の対象外となります。

 尚、これらのケースに該当する場合であっても、前者であれば、承継先が当該同一業種について事前に廃業することで承継可能です。後者であれば、承継元が当該同一業種について事前に廃業することで承継可能となります。 

<要点>
・異業種間の承継は可能。
・同一業種でも、一般・特定の区分が同じなら承継は可能。
・承継元となる建設業の一部のみを承継をすることは不可能。

●許可の有効期間について
 
 事前の許可を受け事業承継を行った場合、承継する許可と、もともと持っている許可の両方の有効期間が更新されることになります。つまり、承継後の全ての許可有効期間は、事業譲渡等の日から5年間となります。 

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杉村徹
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